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あぽとーしす |
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がん免疫細胞療法 |
細胞には2つの死に方があり、一つがネクローシス、もう一つがアポトーシスです。
【アポトーシスとは】
ネクローシスが細胞が傷ついて死んでいく壊死であるのに対して、
アポトーシスは自発的な死、プログラムされた死と言われ、細胞自身が持つ死のプログラムを活性化させて細胞死に至ります。
例えば、受精卵が細胞分裂して人間の個体が作られていくとき、遺伝子によって決められたプログラムに従って、アポトーシスにより細胞が自発的に消えていき、手足の指などが形作られます。
また、免疫細胞が自己抗原に反応するとアポトーシスによって死んでいきます。なぜなら、免疫は自己(自分)と非自己(自分以外)を見分けて、自分以外のものを排除する機能です。免疫細胞が自分の正常な細胞を攻撃することで自己免疫疾患を引き起こすことになってしまうからです。他にも機能に異常をきたした細胞、古くなった細胞、ウイルスに感染した細胞などもアポトーシスによって死に至ります。
アポトーシスは人間以外の生物でもみられます。おたまじゃくしの尻尾は、カエルへと成長の過程で無くなるようにプログラムされています。また、秋になると樹木が紅葉し、やがて枝から離れ落ちるのもプログラムされた死、アポトーシスと言えます。
このように、アポトーシスを起こすきっかけは、遺伝子によってあらかじめ決められたものもあれば、何らかの影響でアポトーシスのスイッチが入り、細胞自身の死のプログラムが活性化して死に至るものもあるのです。
【がん治療とアポトーシス】
放射線治療や多くの抗がん剤は、がん細胞の核にあるDNAを損傷させることで、アポトーシスによる細胞死を誘導するものです。しかし、がんが進行していく過程で、がん細胞は遺伝子を変異させ、アポトーシスのメカニズムが働くなってしまうのです。
アポトーシスの誘導に中心的役割を果たすp53遺伝子は、50%以上のがんで変異や欠損が認められると言われています。これはつまり、放射線や抗がん剤が効かなくなることを意味してます。
NK細胞やキラーT細胞などの免疫細胞によるがん細胞攻撃は、攻撃することで、がん細胞にアポトーシスのスイッチが入り、がん細胞は自発的に死滅します。人間の体に備わった免疫機構を利用したがん治療は、体に害のない理想的ながん治療だと言えます。